第1回:MZ プラットフォームによるシステムの簡単な構築方法

シリーズ概要

中小企業のIT導入率は非常に低い状況だが、IT 化によって「必要な情報を整理・データ化して分析・活用する」ことができるようになり、社内の SWOT 分析が容易になる。導入当初は拙い状況からスタートするが、日を追う毎に社内で議論を重ねて洗練され、自社にフィットしたシステムが生まれてくる、そして単純な IT システムから社内運用の全体的な仕組みが整っていくのである、これが大きなメリットであり、本シリーズでお伝えたい『核』である。

本シリーズでは、産業技術総合研究所によって中小企業向けに開発された無償のソフトウェア「MZ プラットフォーム」の使い方、考え方を紹介する。前回は我々の取組みを紹介した、現場で必要情報を取得し、作業のボトルネックを改善したり、売上と支払のバランスを見て経営判断に活かしている。今回は IT 運用に入る前の準備をお伝えする。

IT経営やってみよう!

 社内をIT 化するには基本として・・・
「アナログで物の流れや人の動きを把握、必要な情報を整理・データ化して分析・活用する。」である。
 失敗しない為の留意点として3つ
・半年~2年程は立上げに時間が掛かる事
・専任者を1名選定する事
・何の為にIT化するか決める事


業務フローを考えよう

IT 化する前に先ずは社内の業務を把握する必要がある。業務把握してない会社があるだろうか?と思われるかもしれないが、実は結構存在している。製造業であれば、だいたい受注して出荷までが網羅すべき範疇となる。

  1. 受注:受注したら社内で何をしているか?エクセルや帳票で管理している項目は何かを具体的に上げる。(社内管理No.・品名・受注金・客先・納期)など把握する。現場へ指示書を出すなど、受注業務の動きもチェックする
  2. 購買:購入する場合の手順はあるか?また同じく管理項目を考える(注文No.・品名・商品コード・手配先発注者・発注日・入荷日)などが想定される。発注形態は紙で FAX かデータから web 発注しているなど手配から入荷までの処理を把握する(外注業務もほぼ同じだが、注文No.・品名・外注内容手配先発注者・発注日・入荷日などが想定される)
  3. 現場:指示書があるか?作業日報をつけているならば、その項目(作業指示No.・作業者名数量工程)などがあるリピート生産と一品生産の現場ではやや違いがあるが、失敗した場合や完了した場合どうしているかも確認する。
  4. 検査:出荷前の検品。検査記録の項目をチェック(社内管理No.・品名・作業者・日付・品質の可否)など。
  5. 出荷:出荷の際の流れを把握。指示書が事務所へ戻る、伝票の発行など。(社内管理No.・日付・担当者)など

太字で記載している項目はマスターを用意する事を推奨している。後の回でまた説明するが、登場頻度の高いものはマスター管理をした方が後々システムを組みやすい。社員や顧客、品目などがこれに当たる。

これらをフローチャートに記入すると図1の様になる。


図1 フローチャート

この様に会社の流れを記入していく、受注から出荷まで何を管理していて、どんな指示書や帳票、注文書を使っているのか。現場では何を入力もしくは記載しているのか。完璧である必要は無い、しかし広く社内を網羅しようと努める事が大事である。因みにこの作業は社長(もしくは次期社長)がやらなければならない。この作業は IT 化する、しない以前の話であり、社内業務を整理出来る良い機会でもある。

また、IT 化する際の決断を下さないといけないが、トップが何をどうIT化するのか理解する必要がある為、導入の成否がここで分かれる。上記のフローチャートは説明用に製作しているだけであって、社内用は手書きでも付箋を貼りつけて作成しても構わない。

ゴールを決める

何事もそうであるだろうが、何をしたいかをまず決める事。つまり「ゴール」である。先に作ったフローチャートを見て課題のある工程から初めても良いし、受注業務から出荷までを管理項目に挙げて全社的に運営しても良い。

MZ の良さはシステムの修正・改善や撤去・刷新など簡単に出来る事にある。スマホが一般的になって久しいが、「キーボードなんて触りたくない」という声もまだ耳にする。先ずは、自社に合った簡素なシステム構築を検討して頂きたい。システムを創る人、使う人、合否判定をするトップまで、全員がレベル1からスタートするのである。

大きな理想は素晴らしいが、初回から壮大過ぎては達成しない。何故だか解らないが、「よーし、やるぞ!」となってフルスペックなシステムを目指してスタートし途中で止めてしまうケースを散見している。今日ジョギングを始めた人が明日フルマラソンに挑戦する様なものである。棄権して「いゃ、難しかった」と感想を言われても、「そうだろう」としか思わない。小さく作って運用、小さく作って運用これの繰り返しで全く問題ない、やがて変更項目が出てきて改修して、また運用とサイクルを回す。2年も経てば立派な社内システムが出来上がっている。

中小企業にとって小さく作っていくメリットは大きい。IT 化した場合に盲点と成りがちなのが、「誰かが入力しないと動かない」という事がよく抜けている。あれもこれも欲張って管理したいと張り切るのも良いが、社内で入力してくれる人が面倒と思えば、たちまち苦労して作ったシステムも無駄となるのである。

「昔からせっせと書類をファイリングして棚にしまっているが何年も誰も見た事がない…」というファイルはないだろうか?何の為にやるのか?本質を誤ってはならない。データは収集して活用する為に取るのである、不要なデータは最初から取らない事、重複するが MZ は改造・撤去が簡単である、良ければ続投、不要なら止めれば良いのである。


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